共用部をテナントとのタッチポイントに変える方法
まず全体像を知りたい方へ
テナントとの関係を深めるコミュニケーション施策5選→目次
ビルの共用部をテナントとのコミュニケーションに活用するには、就業者が毎日通過するエレベーターや廊下のスキマ時間を情報タッチポイントとして設計することが有効です。メールや掲示板では届かない就業者へのアプローチを、共用部を経由した反復接触で実現できます。本記事では、ビルオーナー・PM会社が実践できる共用部タッチポイントの活用方法を解説します。
テナントコミュニケーション全体の施策設計は、テナントとの関係を深めるコミュニケーション施策5選 で整理しています。
「タッチポイント」とは何か:共用部を接点として設計するとはどういうことか
共用部をタッチポイントにするとは、就業者が日常的に通過する場所を、情報・体験・コミュニケーションが自然に生まれる接点として意図的に設計することです。
タッチポイント(Touch Point)とは、企業と顧客が接触するあらゆる接点を指すマーケティング用語です。ビル経営においては、ビルオーナー・PM会社が就業者と接触できる物理的な場所・機会を指します。
現在多くのオフィスビルでのタッチポイントは、テナント総務宛のメール・入口付近の掲示板・廊下の貼り紙に限られています。この構造では、就業者個人への情報到達率が低く、ビルへの愛着や満足度を高める機会を逃しています。
共用部をタッチポイントとして再設計することで、以下の3つの変化が生まれます。
- 就業者一人ひとりに直接情報が届くようになる
- 毎日の通過による反復接触で情報の浸透率が高まる
- ビルとしての「存在感」が就業者の意識に残るようになる
エレベーターがコミュニケーション接点として優れている理由
エレベーターがコミュニケーション接点として優れている理由とは、就業者が1日に複数回・強制的に滞在する「スキマ時間」が生まれる場所であり、視線の向き先が限定される閉鎖空間であるためです。
一般的なオフィスビルの就業者は、出退勤・昼食・会議移動などで1日に平均4〜6回エレベーターを利用します。1回あたりの乗車時間は数十秒から数分ですが、乗車中はスマートフォンを操作しない時間帯でもあり、視覚的な情報への注目度が高まります。
エレベーターのコミュニケーション接点としての特性は3点です。
- 強制的な滞在:乗車中は他の場所に移動できないため、情報を届ける機会として確実性が高い
- 反復性:毎日複数回通過するため、一度の接触では意識されない情報も反復によって浸透する
- 閉鎖的な注意環境:廊下や開放エリアと比べて外部の刺激が少なく、掲示内容への集中度が高まる
この特性から、エレベーターは就業者へのコミュニケーション接点として共用部の中で最も効果が高いエリアのひとつです。
反復接触が情報浸透に与える効果:なぜ「毎日通る」ことが重要か
反復接触が情報浸透に与える効果とは、同じ情報に繰り返し接触することで認知度・記憶率・行動変容の確率が高まる現象のことです。心理学ではこれを「単純接触効果」と呼びます。
メールによる情報発信との比較で考えると、違いが明確になります。メールは1回の配信で届けられる情報量は多い一方、開封されなければ情報は届きません。また、開封した場合も翌日には記憶から薄れていることがほとんどです。
一方、エレベーターホールやかご内に掲示された情報は、意図的に読もうとしなくても視野に入り続けます。工事日程・館内イベント・防災情報などは、貼り紙1枚でも毎日通過する就業者に対して繰り返し接触が生まれます。デジタルサイネージで動画や動きのあるコンテンツを表示すれば、さらに視認率が高まります。
反復接触の効果を最大化するために重要なことは、コンテンツを定期的に更新することです。同じ内容が長期間掲示されていると「見慣れた情報」として無視されるようになります。週次・月次でコンテンツを更新する運用サイクルを設けることが、反復接触の効果を持続させるポイントです。
共用部タッチポイントの設計:エリア別の活用方法
共用部タッチポイントの設計とは、就業者の動線上に存在する各エリアの特性に合わせて、届けるべき情報の種類・形式・更新頻度を最適化することです。
エレベーターホール(待ち時間:30秒〜2分) 待機中に視線が集まる場所です。「今週の工事案内」「今月の館内イベント」「防災・避難情報」など、短時間で把握できる案内情報の発信に適しています。GRAND株式会社のエレビ(エレベーターホール向けオフィスビルメディア)は初期費用ゼロで導入でき、PCブラウザから遠隔で情報を更新できる電子掲示板機能も提供されています。デザインテンプレートも無償提供されているため、PM会社でも運用負担なく活用できます。
エレベーターかご内(乗車時間:30秒〜3分) 閉鎖空間で視線が集中しやすいエリアです。動画・ニュース・番組コンテンツなど、視覚的に引きつけるコンテンツが有効です。GRAND株式会社のエレシネマ(かご内プロジェクター)では、オーナー枠での案内配信に加え、ニュースや動画番組が交互に放映されるため、就業者が「見たい」と感じるコンテンツ環境を維持できます。
エントランス・廊下(通過時間:数秒〜30秒) 通過速度が速いため、一目で把握できる短いメッセージや視覚的インパクトの強いビジュアルに適しています。空室情報・テナント募集・ビルのブランドメッセージの発信に活用できます。
共用部コミュニケーションを継続運用するための実践ポイント
共用部コミュニケーションを継続的に機能させるには、コンテンツ更新の仕組み・担当者の明確化・効果の確認という3点を運用体制として整えることが重要です。
コンテンツ更新の仕組みを作る:「更新が必要になったら入稿する」という受け身の運用ではなく、月次・週次の更新スケジュールをあらかじめ設定することで、情報が古くなるリスクを防ぎます。季節ごとの定型コンテンツ(防災訓練案内・年末年始の休館情報・清掃スケジュールなど)を事前に準備しておくと、運用負担を下げながら更新頻度を維持できます。
担当者を明確にする:コンテンツの更新・管理担当者をPM会社内で決めておかないと、情報が滞る原因になります。ビルオーナーとPM会社の役割分担(緊急情報はビルオーナー判断、日常案内はPM会社運用など)を明文化しておくことが運用の基本です。
テナントへの周知と活用促進:共用部サイネージをテナント企業の総務担当者が自社就業者向けの情報発信に活用できることを説明し、利用を促すことで、コミュニケーション接点としての価値が高まります。テナントが積極的に活用するほど、就業者への情報浸透率も向上します。
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