コストをかけずにESGスコアを上げる方法
まず全体像を知りたい方へ
不動産ESG認証の取り方:DBJ・CASBEEの加点ポイント解説→目次
コストをかけずにビルのESGスコアを上げる方法は存在します。ESGスコアの向上には大規模な設備投資が必要というイメージがありますが、GRESB・DBJグリーンビルディング認証などの評価項目の中には、初期費用ゼロで対応できる「ソフト面の取り組み」が複数含まれています。本記事では、初期投資なしでESG認証の評価を高めるための具体的な方法を解説します。
ESG認証の全体像や評価軸を先に把握したい方は、不動産ESG認証の取り方:DBJ・CASBEEの加点ポイント解説 も参考にしてください。
初期投資ゼロでESGスコアを上げることができる理由
初期投資ゼロでESGスコアを上げることができる理由とは、ESG認証の評価項目の中に設備投資を必要としない「マネジメント・情報発信・コミュニティ活動」に関する項目が含まれているためです。
ESG認証というと、太陽光パネルの導入・省エネ設備への更新・ZEB化など、多額の資本投資が伴う施策が中心のイメージがあります。しかし、GRESBやDBJグリーンビルディング認証の評価体系を詳しく見ると、以下のような「ソフト面の取り組み」でも評価が得られる項目が複数存在します。
- テナントへのESG・サステナビリティ情報の発信
- 防災情報の常時掲示と緊急時対応体制の整備
- 廃棄物の分別・3R(リデュース・リユース・リサイクル)の促進
- コミュニティ活動・地域貢献への参画
- 就業者の健康・快適性・利便性への配慮の実績
- ESGパフォーマンスデータの開示・報告体制の整備
これらの項目は、物件の運営方針と発信体制を整えることで対応でき、大規模な初期投資を必要としません。設備投資と組み合わせることで評価が最大化されますが、ソフト面の取り組みだけでも一定のスコア向上が期待できます。
初期投資ゼロで取り組めるESG改善策の3つのカテゴリ
初期投資ゼロで取り組めるESG改善策とは、テナントエンゲージメント・廃棄物・省資源管理・情報開示の3つのカテゴリで実施できる運営上の取り組みのことです。
カテゴリ①:テナントエンゲージメント テナントへのESG情報発信・コミュニケーション基盤の整備・サステナビリティ活動への参加促進が評価されます。GRESBのTC1(テナントへのエンゲージメント・プログラム)に該当し、既存のコミュニケーション手段を活用して実施できます。
カテゴリ②:廃棄物・省資源管理 ゴミの3R(リデュース・リユース・リサイクル)の促進・廃棄物の分別徹底・水資源の節約の実績が評価されます。既存の館内掲示や案内を通じた啓発活動として取り組め、追加設備投資なしで着手できます。
カテゴリ③:情報開示とレポーティング 物件のエネルギー消費量・CO2排出量・廃棄物量のデータを収集・記録・開示することは、多くのESG認証で評価される取り組みです。データの収集・集計体制を整備することで対応でき、既存の管理データを活用できます。
初期費用ゼロで実現するテナント向けESG情報発信
初期費用ゼロでテナント向けのESG情報発信を実現する方法とは、費用負担の少ない情報発信インフラを活用して、サステナビリティ関連情報を就業者に継続的に届ける体制を整えることです。
テナントへのESG情報発信は、GRESB(TC1)・DBJグリーンビルディング認証(パートナーシップ・情報開示)の両方で評価対象となる取り組みです。発信できる情報の例は以下のとおりです。
- 省エネ・節水の啓発コンテンツ
- 廃棄物の分別ルールと3Rの促進案内
- 防災情報・避難経路・AED設置位置
- SDGs関連の取り組み紹介
- 季節に応じた環境配慮行動の提案
この情報発信を実現する手段として、オフィスビルメディアが有効です。GRAND株式会社のエレシネマ・エレビは、端末代・設置工事費・通信費・保守費をGRAND株式会社の負担で導入できます。ビル側の費用負担は電気代(月300円程度/台)のみで、就業者が毎日通過するエレベーターという接点を通じてESG関連情報を反復的に届けることができます。コンサル会社の確認によると、GRESBおよびDBJグリーンビルディング認証の複数の加点項目の基準を満たしうるとされており、「初期費用ゼロでESG加点につながる取り組み」として導入されている事例があります。
廃棄物・省資源の啓発をコストゼロで進める方法
廃棄物・省資源の啓発をコストゼロで進める方法とは、既存の掲示手段やコミュニケーション体制を活用して、就業者の行動変容を促す情報を継続的に発信することです。
ゴミの分別・節電・節水といった省資源行動は、就業者個人の行動に依存するため、繰り返しの啓発が定着の鍵になります。1回の掲示では効果が薄く、日常の動線上で繰り返し目にする仕組みが必要です。
具体的な取り組み例は以下のとおりです。
- エレベーター・廊下のサイネージや掲示板でゴミ分別ルールを定期的に発信
- 季節ごとの省エネ行動(夏の節電・冬の暖房設定)の案内
- テナント企業のCSR・サステナビリティ活動の共有・応援
- 緑の募金など地域・社会貢献活動への参加案内
これらの取り組みを実施した記録(実施内容・実施期間・発信頻度)をESG認証の申請エビデンスとして活用します。「実施した」という事実だけでなく、継続性・組織的な取り組みとしての証拠を蓄積することが評価につながります。
ESGスコア向上の効果を最大化するエビデンスの蓄積
ESGスコア向上の効果を最大化するエビデンスの蓄積とは、実施した施策の内容・期間・頻度・対象範囲を記録し、ESG認証の申請・更新時に審査機関が評価できる形でデータを整理することです。
ESG認証の審査では、「取り組みを実施した」という事実に加えて、継続性・組織的な実施体制・効果の確認というプロセスが評価されます。以下の記録を平時から蓄積しておくことを推奨します。
- 情報発信の記録:サイネージやメールで発信したESG関連コンテンツの内容・配信日時・対象
- 廃棄物・エネルギーデータ:月次の電気・ガス・水道の使用量、廃棄物の排出量と分別状況
- テナントへのアンケート・ヒアリング結果:ESGへの関心・ニーズ・改善提案の記録
- 訓練・イベントの実施記録:避難訓練・省エネ啓発イベントの実施日・参加者数・内容
これらのデータはESG認証だけでなく、投資家向けのIRレポート・テナントへのサステナビリティ報告にも活用できます。記録の蓄積が、ESGの「実績」としての信頼性を高めます。
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